窓辺で泣き濡れるフィーアはふと馬のひづめの音を聞いた。

その音は明らかに屋敷に向かって来る。

しかもかなりのスピードで。

こんな時間に訪問者があるとは思えない。


エルンストは城に泊まると連絡が来ていた。

何か良くない知らせかも。フィーアに緊張が走る。


窓から身を乗り出し、闇に眼を凝らしていると、音はだんだん近づき黒い影も大きくなってくる。


......


ご主人様?!


夜着に着替えていたフィーアはストールを羽織ると玄関へと向かった。


とにかく鍵を開けなければならない。


入浴されるかもしれない。


お食事は?


階段を駆け下りながら、とっさにやるべきことを思い浮かべる。