パウラは目を閉じエルンストの背中に手をまわす。

.....

.....?


目を開けてパウラはエルンストに声をかけた。

「......エルンスト様.....?」


違う。俺の知ってる肌はもっと白くなめらかで。

俺の知ってる体はもっと柔らかく細い。

俺の知ってる声はもっと甘く切ない。


「やはり、お前は抱けぬ」

そう言うと、エルンストはパウラから体を離した。


驚いたのはパウラだった。


「一体どうなさったのですか?わたくしではご不満ですか?」

その声には行為を中断されたパウラの不満が混ざっている。


「何故ですのっ?!わたくしが好みだとおっしゃったではありませんかっ?!」

「好み.....か」

エルンストの顔には笑みが浮かんでいた。

口元を歪ませると、

「お前の顔は好きだが、好みでははない」

「意味がわかりません」


パウラの言葉を無視してエルンストは立ち上がる。


「お、お待ちください、わたくしに恥をかかせるのですかっ?!」


「もう娼婦は抱かんと決めたのだ」

言い残すと、エルンストは闇の中に姿を消した。