「世は....あの黄色のドレスを着た女。それから....あそこにいる赤いドレスの女だ」


ひそひそ話のわりには指をさすゲオルグ。

女性にバレバレではないか。

指をさされた娘は顔を赤くしてうつむいてしまった。

それ見ろ。エルンストはため息をつく。



だが、他の娘たちもそこで引き下がってはいなかった。

指名されなかった美女たちは皇帝に気に入られようと、必死にご機嫌をとろうと話しかけてくる。


皇妃にはなれなくとも、側室となり子を成せば扱いは皇妃に引けを取らない。

公式の場では皇妃がその地位を誇るが、それ以外であれば側室とて大きな顔を出来る。まして子を生したとなれば、尚更だ。

カールリンゲン国は第一子が玉座を継ぐことになっている。

男児でも女児でも構わない。とにかく生まれたもん勝ちだった。



今だゲオルグとゾフィーの間には子供がいない。


これを好機ととらえる貴族の娘は....いや娘の親は多かった。

一族の繁栄は娘たちにかかっていると言っていい。