そんな事で一体何が分かるというのか。
半信半疑で洗面所の鏡の前へと移動する。
デビーに言われた通り、薄っぺらい長袖を脱いでみた。
「っひゃ……!!」
鏡の前に立つ半裸の自分に思わず驚嘆を上げてしまった。
だってあまりにも惨たらしい身体をしていたから。
少年の身体にはたくさんの痣や腫れがあって、
見た事もないくらいに青黒く染まっていた。
火傷のような跡に、切り傷まで…
これまでの彼の人生に一体何があったというのだろうか。
「どういう事なの!?デビー!?」
質問を投げかけた先に、デビーは居なくなっていた。
さっきまで確かに此処に浮遊して居たはずなのに、いつの間に消えてしまったのか…
ガチャガチャ----!
ドンドンドンドンドン----ッ!!!
「…っ!」
突然、玄関のドアを叩き鳴らす音がして、
私は反射的に身を潜めた。
「おい、コラ!開けろ糞餓鬼!!
どうせ中に居るんだろ?」
気性の荒い不機嫌な男性の声に、何故か全身の身震いが止まらなくなる…。
ガシャン、ガシャガシャ----
「なんだ?チェーンなんか掛けやがって、父親ナメてんのか?くっそ…マジで…覚えてろよ」
ガンッ--------!!
「---なぁ、ごめんって。謝るから。だからこのドアを開けてくれよ!お願いだから!そしたらこれからは優しくするって誓うから!な?頼むよ…」
不機嫌な声から一転して、懇願するその声はとても切実なものだった。
開けた方がいいのだろうか…
混沌とする心中が私の思考を錯誤していく…。
けれど、この試練において青年の真意を探るためには彼の言う通りにしておくのが間違いないのではないだろうか。
未だ正解は判らないけれど、ここは彼との約束を優先した方が賢明そうだ…。