私の目の前で父親が死んでいる…。


現実で起こり得た
その事実を、
この目で直視する。



「こんな奴でも、俺達の父親だったのに。」


そう、


この死体は、


忌々しくも私とお兄ちゃんを


苦しめて


追い詰めて


甚振った。


ざまぁみろ。ざまぁみろ。




それでも涙が溢れてくるのは



お兄ちゃんが…






お兄ちゃんが後悔に明け暮れて、






---泣いているから。





「泣かないで…」



ただ、この少年のような青年を救いたかった。

笑顔の眩しい素敵な兄を助けたかった。






「ごめん、ナオ…。」




「…なんで謝るの…?」




「もっと、お前といっぱい楽しい事したかった。
映画を見たり、キャッチボールとか…
あとは…たまにはケンカも。」




「…いいじゃん。しようよ!
これからはできるよ…!いくらでも…!」




「ごめんな。」





「…嫌だよ…。だから…なんで謝るんだって…。」






「こんな弱い兄ちゃんで…、ごめん!!」



そう言って、



満面の笑顔を見せると



お兄ちゃんは自分の胸に包丁を向けた。



「ダめぇえぇぇええええええええええええぇぇええええぇぇええええェえええええェええぇぇええええーーーッッッ!!」





















-----私は、






お兄ちゃんを…






スクエナカッタ…-----。