私の問いかけに、悪魔はすんなりと
「いや、オレ天使の妖精!」
と答えた。
と、言われてもどっからどう見ても悪魔の妖精なのだが…。
黒髪の美少年の姿で、頭には鋭いツノみたいなのが2本。
肩から飛び出た黒い羽。
光る八重歯に、黒くて細長い尻尾。
おまけに目つきも悪めだし。
これであのフォークみたいなやつ持ってたら完全にデビルじゃないか!!
「その目は…信じてないな?」
「いや…だって、天使ってもっと全体的に、こう…白くない?あんた、髪の色とか真っ黒だしさ。」
「黒髪は人間だった頃のなごり!お前ら人間が知らんだけで黒い天使だっていんだよ。つーかその辺俺につっこむな!文句あんなら神様に言え!」
「へぇ〜へぇ〜へぇ〜。あんた元人間なんだぁ。だとしたら、さぞ美少年で幸せな人生送ってたんでしょうね〜。」(じとー)
「…まぁいいや。説明はあとで。そろそろ時間止めとくのも限界。行くぞ!」
意気揚々とするデビルに、
意気消沈とする私。
「は?行くってどこに?てか私ここから動く気ないんで。死にたいんで。早く時間再開しちゃってください。」
「頑固な奴だなー。言ったでしょ?俺にその命ちょうだいって。」
デビルが私の首根っこを引っ張ると、ふわっと体が宙に浮き、驚いた私は「わぁ!」と驚嘆を漏らした。
まんまとホームの黄色い線の内側まで戻されてしまった私。
背後からパチンと指を鳴らす音が聞こえると、
止まっていた時間が動き出す---。
「キャー!女子高生が轢かれちゃ…!って…あれ?見間違え…?」
通過する電車と、ホームに座りこむ私を交互に確認しながら、人々は安堵の表情で止めていた足を動かした。
これで、めでたしめでたしってか?