………。
あれ?
えーと。
全然、痛くない?
ギュッと閉じていた目を、そっと開いてみる。
「は…?」
警笛を鳴らして凄い速度で迫っていたはずの電車が、ピタリと止まっている。
「なんだこれ?」
自分以外、ピタリと静止し静まり返る世界に、私は首を傾げてみた。
なぜ、私だけ動く事ができる?
「…せっかく死のうと思ったのに。」
これじゃあ計画が台無しじゃないか。
「ねぇ、どうせいらない命なら俺にちょうだいよ?」
「ぅわぁぁっ!!」
ひょいっと突然現れた、目の前の小さな生き物に私は絶句して尻餅をついた。
「なに?その悪いもんでも見たような反応は。気に触るなぁ。」
小さい生き物は、尚も空に浮かびながら私の目前で喋り続ける。
「…え、だって…。そりゃそうでしょ?…あんた…、悪魔ってやつじゃないの…?」