井上の後ろの男が宮部を先導するかの如く前を歩き始めた。


立派な庭を抜けると岩で囲まれた小さな池が姿を見せ、透き通った水の中を色とりどりの鯉達が優雅に泳いでいる。


その脇に和服姿の老人が鯉に餌をあげているようだった。


「親父。連れてきました。」


男はその老人に頭を下げてから3歩ほど後ろに下がった。