「この『これ以上の悲劇』というのはあなたの事を指し示していたんでしょうね。 十分過ぎるほどの悲しみを背負ったあなたに殺人という罪まで上塗りしてほしくないという老人からの最後の気遣いだったんですよ。」 宮部の話を聞き終わると鈴花は包丁を手から地面へと落とし、声を上げて泣き始めた。