ハッと目が覚める。

「……………………」

一瞬、いつも見ている天井じゃない天井が目に入り混乱したけど、昨日の事をすぐに思い出し、ここは課長の家だと認識する。

隣を見ると、規則正しく寝息を立てている課長がいた。

そうだ。

『ルイは寝る時はいつも腕枕だった』

と言う理由で昨夜、課長の腕枕で眠ったんだった。

見慣れぬ天井をぼんやり見つめながら、今見ていた夢の事を考える。

あれは誰だったのだろう。

夢の中の私は、本当に幸せそうだった。

お父さん、と言う線もあるかもしれないけど、背格好が違う。

よくよく考えてみると、和矢でもなかった様な。

(なんとなくだけど)

隣で眠る課長に目を向けた。

(課長の背格好に似てたな)

それに、抱きしめられた時に流れて来た温かさ。

課長に頭を撫でられた時の温かさと似ていた。

和矢に抱きしめられた時と、違う。

もっと力強くて、安心出来る手。