「自販機で買うものと言えばやっぱりコーラだよな」


「柚明(ゆずあき)も狙いは俺と一緒か」


悪友の柚明と一緒に一階の昇降口にある自販機を目指す。

俺達のターゲットは言わずと知れた炭酸界のKing Of Kings、コ○コーラ。

世知辛い世の中に渇いた心と喉を潤してくれる中毒性の高い一品だ。

「柳也(りゅうや)はいつも弁当組なんだから水筒持ってくればいいじゃんか」


「馬鹿野郎、水筒なんてかさばる物なんて持ってこねえよ」


「にしても昼休みって、何でこんなに自販機混むのかねぇ」


悪友といつものやり取りを繰り広げているとついに柚明が自販機の前に立った。


「・・・柳也、悲しい事件が起こった」


コーラが売り切れていたのだ。


「朝までは売られていたのにな」


まったく嫌な事件だったな。


午後の授業の前に鋭気を養う命の水を得ることなく教室に戻ると、俺の幼馴染が悠然と俺達が求めていたコーラを飲んでいた。


「梨乃、コーラを売り切れにした犯人はお前か!!」



~自販機で飲みたいと思った物はなぜか売り切れている~