「わたしもやり返したい気持ちはあるけれど、そう思うだけで、実際にはとても出来ないよ」

「まぁね」


奈穂実はわたしの気持ちに同意しながら、話を続けた。


「でもあーゆータイプには下手に出ると調子に乗って何度でもやってくるから。相手の心が折れるほど徹底的にやり返してやらないと」

「心が折れるほど? ……奈穂実は強いんだね」


クラスメイトから向けられる視線をチラチラと気にするわたしに、奈穂実はふふっと笑いながら組んでいた足を崩すとわたしに近づいてきた。


「強くなんてないよ。私、気にするタイプだし」


そう言って小声で教えてくれる奈穂実。