奈穂実を求める首のない人影が、教室の前を通りすぎようとしていた。


この人は自分の頭を、もう見つかることのない頭をただ探しているだけなのに、わたしと同じように疎まれている存在。

恨む相手すら、もういないんだよね。



「ねぇ、……寂しくないの? 」



わたしの問いかけに、首なし坊主はピタッと足を止めてしばらく動かなくなった。



そしてまた、ゆっくりと奈穂実を追いかけ始めた。