けれどほのかは、怯えながらも睨むような目で奈穂実を指差した。


「この人の言うことなんて信じないで。いつも一人でぶつぶつ喋ってて、不気味だってみんな言って、」

「はぁ？ なによそれ」


ほのかの子供染みた当て付けに、奈穂実は言い返すのが馬鹿馬鹿しくなったようで、大きくため息をついて腕を組んだ。

ほのかに言いたいことを言わせるつもりらしい。


「いつも一人で喋ってて、笑ってて。その時よく『美晴』って名前を出してたから、だからあたし、あたし怖くて」

「ほのか、……この子は『美晴』と話をしていたの？ 」


潤子の問いかけに、ほのかは大きくうなずいた。

そして潤子は奈穂実の母親と目を合わせて固まってしまった。