「返しなさいってばっ」

「いや、やめてっ、やめてっ」


奈穂実がしびれを切らして手を伸ばした。

二人はもみくちゃになりながら奪いあい、机やイスがガタガタと音をたてる。


「美晴、 取って! 」


奈穂実が奪い取ったてるてる坊主を、ほのかから離すように投げてきた。

わたしはそれを拾い上げると、二人から距離をとって窓際へと逃げた。