それからまた一週間がたった

「別れたらしいね?なんで別れたんだろー」

いろんなとこから聞こえてくるうわさ話

「杏梨…。気にしなくていいよ!ね!」

私と涼が別れたことは

案外早く広まった

「うん。ありがとう、由那」

「もぉー!暗いよ!顔を上げて!」

私の頬に小さい由那の両手が添えられ

上を向かされる

あれから涼の姿を1度も見ていない

ずっと涼は休みっぱなし

私はもう何日も心から笑っていなかった

由那が必死で励ましてくれるから

頑張って笑顔を貼り付ける

空元気にきっと由那は気づいているけど

そこには触れず

ただただ側にいてくれる優しい由那

そんな由那に甘えすぎかな?

「あっ」

「どうした?杏梨」

そういえば今日、涼の誕生日だ

本当だったら今頃

誕生日プレゼント渡したりしてたのかな

ダメだ、考えたら涙が止まらなくなる

「ちょ、杏梨?!」

「ごめっ…」

由那は察してくれたように

静かに背中を擦ってくれた