あれから1年がたった

今、涼はこの世にはいない

あの日から私は涼の病院に毎日通った

できるだけ私のことを忘れないように

そして、涼との時間を大切にするために

時には涼を病気にした神様を恨んだりもしたし

由那や総くんに助けられることがたくさん

ほんとにたくさんあったりしたけど

私はこの1年がすごく濃い思い出になった

でもやっぱり涼がいなくなった実感が

あまりなくて

それでもやっぱり涼のこのを考えると

涙がすぐに溢れてくる

涼の病室を片付けていたとき

「杏梨ちゃん、ちょっと…」

涼のお母さんから呼ばれ向かう

「これ、涼が杏梨ちゃんに手紙残してたみたいなの。もらってあげて?」

私はゆっくりとその手紙に手を伸ばす

涼、あなたはいつも

私を驚かすね

手紙なんて書いてたの?

いつ書いていたのかな?

体だって痛かったんでしょ?

無理して書いたの?

ほんと馬鹿なんだから

手紙があるなんて

どんなサプライズなのよ

そこでもやっぱり私は涙を流した

手紙をあけると何度も見たことのある

涼の字が、でも少し震えている字が

びっしりと敷き詰められていた



【杏梨へ】

杏梨、この手紙を手にしているってことは
もう俺はお前の側にはいないってことだよね。

杏梨に手紙を渡すのはこれが最初で最後だね。

今泣いてない?大丈夫?杏梨は泣き虫だから…
俺がいなくて寂しいって?
そんなのわかってるよー!
なんてね、ごめんね、杏梨。
杏梨を残して死ぬとか最低な彼氏だよな。
なのにそのことで怒ったことなんて
お前はなかったな。ありがとう。

なぁ杏梨、俺お前には感謝しても
しきれないほどすっごく感謝してるんだ。

これだけは言わせてよ。

杏梨、俺を愛してくれてありがとう。
俺にお前を愛させてくれてありがとう。

俺は死んだけど
お前はひとりじゃない
総や七瀬、ふたりだけじゃない
お前のみかたはたくさんいるはずだから。

だからもし辛くなれば
そいつらに会いに行けばいい。
きっと、そばにいてくれるはずだから。

お前は自由だ。
この先だれかと付き合ったり
そうゆうのも全部自由だ。
俺に縛られんな。

でももし、この先も
俺を、俺ひとりしか愛せないってゆうなら
もう1通の手紙を読んでくれ。





そこで手紙は終わっていた。
裏にはもう1通の手紙の置場所と思われる
メモと、封筒には鍵が入っていた。

この手紙だけでも
すごく泣けるのに
これ以上泣かされるなんて
思っても見なかった…


もう1通の手紙を見つけて書いてあった言葉
それはたったの一言だった