私はこの恋に必死だった

あなたといられたら寂しくなくなると思っていた

暗闇の中
あなたが明かりを灯す光

また会えると信じてる
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あの女のことを調べた。死んだ母親の元恋人と住んでること。仕事先。前のメイドの仕事で問題をおこして辞めたこと。ほら……問題起こすような女なのよ。あなたには似合わない。

仕事帰りを待つ。彼と会わないでほしいと伝えた。勢い余って、彼の父親も会わないでほしいと言ってると伝えた。

これで、コイツがいなくなれば……

何もかもなくして手に入らない
全てを失ったと思った

こういう運命なんだと思った

どこか違う場所へ行けば
新しい人生を始められる?
何もかも忘れて自由になれる?
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会社の帰り、綺麗な女の人に声をかけられた。和くんと会わないでほしいと……父も会わないでほしいと言ってるって……

父に聞く度胸はなかった。でも、このまま聞かなかったことにはできない。おばあ様に会いに行くことにした。

父が兄に会わないでほしいと言っていると聞いたことを話した。おばあ様の顔色が変わった……そして、初めて聞いた事実……父と母は再婚同士だと聞いた。そうか……離婚した血のつながりのない私なんて……

家に帰る途中、また話しかけられた。私に話しかけてきた人は、パパの見合い相手だった。そして、パパと結婚の話が進んでいることを聞いた。

全てを失ったと思った。

もうここにはいられない。でも、行く所も思いつかなかった。泣きそうになっていた。

まだ帰ってきてない真っ暗な部屋。荷物を持って、鍵をリビングのテーブルに置いて、家を出た。和くんの家の鍵を封筒に入れて、ポストに入れた。

誰も知ってる人のいないところで、違う人生を生きよう

全部捨てて、どこかに……

電車で行ける所まで行って……


彼女のいなかった生活に戻る

心臓が裂けるかと思った
オレはもう……
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血のつながらない娘との距離……近くて……遠い……

美緒といると、心地よくて、穏やかに毎日が過ぎていっていた。

仕事でいつもよりも帰りが遅くなった。部屋の電気がついていない。一抹の不安がよぎる。

部屋の電気をつけた。リビングのテーブルの上に鍵が置かれていた。書き置き「もう私なんか、責任感じなくていい」彼女を亡くして寂しかった。だけど、責任を感じてたわけじゃないんだ。

お前がいないとダメなんだ。お前が必要なんだ。夢のような日々が終わってしまう前に……探しに行く……

夢だと思っていた
望んでもいいの?
嬉しすぎて……
幸せすぎて……

今まで色んなことがあった
たくさんの涙を流してきた
だけど元気に笑ってた
でもさ……傷つかない訳じゃない

ひとりぼっちで寂しかった
なのに……素直になれない

これで最後だから
もう一度信じていいですか?

苦しんだ分……幸せを感じた
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行く所もない。これからどうしたらいいかもわからない……深夜営業のファミレスで、時間をつぶしていた。

なんで?パパがやってきた。
「帰るぞ……」
「や……やだ……」
「なんで?」
「だって……結婚するんでしょ?邪魔したくない」
「結婚なんてしない」
「でも……あの人が……」
「見合いはしたけど、断ったから……美緒は気にすることない」
「結婚の話が進んでるって……」
「ちょっと待ってて……」

誰かと電話してる。

電話の相手は、彼の母親だった。
「結婚の話なんて、ないわよ。またこの間みたいなことになったら、困るもの……」
「この間って?」
「あなたには、ちゃんと話してなかったわね。お見合いの日の夜……大量の睡眠薬飲んで……入院してたでしょ?あの子は、弱いのよ……彼女が亡くなってから、ずっと不眠症で薬がないと寝れなかった。今はあなたがいるから落ち着いてるみたいだけど……それで、結婚なんてできるわけないじゃない……」

「わかった?」
「うん。信じる。でも、帰れない」
「なんで?」
父と兄とのこと、おばあ様に聞いたことを話した。
「そうか……」
「パパも知ってたの?」
「彼女から聞いていたよ。」
「なんで教えてくれなかったの……知ってたら、和くんのところに行かなかったのに……」
「父親はともかく、お兄さんは美緒をかわいがってると思っていたから……」
知らなかったのは、私だけなんだね……

「うちの別荘があるから、そこで暮らす?」
「そんな……迷惑かけられないよ。」
「迷惑じゃないよ。それとも、本当は俺といるのがいやってこと?」
「いやじゃないよ」
「それなら、週末だけでも別荘で一緒にいられるだろ?」
「でも……」
「今から行くぞ。」
海辺の町の別荘についた。

「明日は会社休むっていっておいたから、ゆっくりしよう……」
「いつも助けてくれてありがとう。ずっとうれしかったよ。色んなこと信じられなくなったけど、パパのこと信じたい。」

新しい生活が始まる。これからも、この幸せが続きますように……



オレはこんなところで何やってんだ?
オレには彼女しかいないのに……

なんてことない毎日……
彼女がいるだけでバラ色に変わる
彼女と笑い合いたい

どんなことをしてでも
彼女と一緒にいたかった
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美緒って危なっかしくて、ほっとけなくて、かわいかった。美緒が頼ってくれて、俺だけを見てくれてると思ったら、うれしかったんだ。

それなのに、美緒からの封筒が届いた。中には、合鍵が入っていた。なんでなのか、理解ができなかった。

そして、おばあちゃんから聞いた。父が美緒に俺と会うのを辞めるように言ったこと。血のつながらない兄妹だということを伝えたこと……

もう、美緒は俺に会わないつもりなんだとわかった。胸が張り裂けそうだ。でも、事実だ。

電話も、メールもつながらない。美緒の会社に連絡したら、会社も辞めていた。一緒に暮らす母の元恋人のところに連絡した。そして、彼のもとからも姿を消していた

美緒とのつながりが、何もなくなった。父への怒りがこみあげてきた。



彼が好きで好きでたまらないから

理性がふっとぶほどかっこいい

かっこよすぎて頭がおかしくなりそう

好きすぎて死にそう

だけどこの恋はずっと私の片想いだったんだ

私だけが彼を好きなまま
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目障りなのっ……せっかく、あの女をはなしたのに、ムダだった。

もう一度告白した。だけど、彼はうんとは言ってくれなかった。
「私なら、誰がみたって似合ってる……」
「他のヤツなんて、どうだっていい。そういうのどうでもいい。自己満って言葉知ってるか?」
「じ……自己満……?」
「好きな子だったら、かわいいと思うよ。キミがかわいいと思ったことは、一度もない。」
「な………」
「だから、自己満って言ってんだろ……ダイエットだって言って、頼んだ食事をほんの少ししか食べなかったり、ブランド品しか身につけない。俺、そういうの嫌いだから……」

あの女なんて関係なく、嫌われていたんだ……

「悪い所があったら、直すから……これから私達……」
「そういうキミを好きだってヤツと付き合ったほうがいいよ。」

私が今まで努力したことは、無意味だったんだ。
今のままでも幸せだけと
このままでいいの?

彼女に気持ちを伝えたら
どう思うだろう?

オレの想い……キミに届けたい
ちゃんと気持ちを伝えよう……
どうしても伝えたい

伝えられないうちに
彼女はいなくなった

もう一度……彼女に会うために……
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たまにしか会えないけど、前よりも話すようになった。知らない一面を知るたびに、もっと好きになる。少しくらいは、俺のこと好きだって思っていいのかな?昨日よりもっとキミを好きになる。

次に会ったら、気持ちを伝えようと思っていた。少しは好かれてるって思えてたのに……それなのに、仕事を辞めて、引っ越しをしていた。もう会うこともできなくなるなんて……なんでもっと早く……気持ちを伝えなかったんだろう……

どうしたら、会える?また会いたい……

会えなくなると
ずっと……ずっと……
彼女のことばかり考えていた

今……会いにいきます
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あんなに夢見ていたバンド活動もうまくいかない。彼女もいなくなった。何もかも、うまくいかなくて、イライラする。

そんな時、母から彼女が作詞作曲できることを聞いた。それでバンドのために曲を作ってほしいと頼みに、海辺の町に行った。海の見える喫茶店で、彼女を待っていた

頼むと、
「本当に私でいいの?」
「最近、バンド活動がうまくいってなくて、新しい風を吹かせたいんだ」
「そう……あなたのお母さんから話しは聞いていたので、一応作って見たんだけど……」
元気が出るような曲だった。
「ありがとう……」

東京に帰って、バンドのみんなと歌ってみた。これでもダメなら、辞めようとおもっていたんだ。すぐにCDの話がきて、今までの不調が嘘のように爆発的に売れた。

いつも、彼女は俺の分岐点にいる。きっと、今回のことがなければバンド活動を続けられなかった気がする。

気持ちをつたえることはできなかったけど、彼女とのつながりができた。

誰にも必要とされてない
空っぽな心
居場所なんてどこにもなくて

何のために生きてるのか
わからなくなっていた

そんな心の闇に光が射す

生きる力をなくしかけていた私
生きる力を与えてくれたのはあなた
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パパの別荘で1人で住み始めた美緒。一気に色んなことがおこり、心がついていかなくなっていた。

ひとりぼっち……

そんな時、曲を作ってみないかと言われて作ってみた。

そして、彼が会いにきた。1人じゃないと思えて、笑顔になる。こっちにきてから初めての笑顔……

そして、彼から聞いた。高校の時、喫茶店でバイトしてたときに出会っていたこと。そのあと頑張ってバンド活動していたこと。そんなこと忘れていた。私なんかの言葉が、誰かの心を動かすことがあったんだ……私の知らない所で知ってくれていたんだね。見てくれていたんだね。彼が知ってくれていた。

差し出された大きな手をギュッとにぎる。

そう……私は1人じゃないと思えた。私のことを、ちゃんと考えてくれてるって思えた。