学校から帰ると おかぁちゃんに作ってもらった おんぶ紐にドンをおぶって 近くのスーパーマーケットに買い物に出かける事が私の楽しみだった。 


まるで、おかぁさんの気分で…作れもしないドンの洋服を作ってみたり… 



本当に可愛がっていた… 


しかし…はぁ?… 
私のドンが……誘拐された…… 


あの日 いつもの おんぶ紐が見当たらずに 紙袋にドンを入れて買い物に出かけた。 

子供が大きな紙袋を持って、お店に入ったら 万引きに間違われるからね…と おかぁちゃんに言われていた私は、お店の前にあるベンチにドンを置いて中に入った。 


ドン…すぐに来るから待っててね…と言い残し… 


出て来た時には ドン の姿は、どこにも 居なかった。 
しばらく そのまま立ち続けた… 
誰かが 間違えて連れて行ったのかもしれないと… 



それから ドンが居なくなった事が、ずっと言えずにいた… 

毎日、毎日…スーパーマーケットの前に立ち続けて、ドンを捜した。

お姉ちゃんにも、捜してもらって…


学校の友達にも、捜してもらって…


でも… 私のドンは、帰って来なかった。 
ボロボロに なっていても、帰って来てほしかった……ドン…ごめんね…おとうちゃん…ごめんね……泣く事しか出来ない私は、おとうちゃんの買ってくれた時の言葉と一番大きなお金を思うと何も言葉に出来なかった……