高校では千華の学校が遠いので、千華の登校時間と綾人の朝練の時間がちょうど被り、自然と毎日一緒に駅まで歩くことになった。


家から駅までは緩く長い上り坂で、千華に合わせて歩くと25分程かかる。


その間千華と他愛もない話をするのが綾人の日課だ。


「ばいばい」


「おう」


駅に着くと、それぞれ逆方向のホームに向かう。


綾人はいつのまにか千華に惹かれていた。


俺が守らなくてはならないのだと自然とそう思っていた。


だが、はっきり千華に気持ちを伝えたことはない。


付き合いが長い分今さらすぎるという気もするし、第一綾人はそんなことを言うガラでもない。


いつかはちゃんと言わなくてはとわかっているのだが、きっかけとタイミングが見つからない。


そんなこんなで今もただの幼馴染みなのである。