「だってそんなのエアとトートが勝手に考えて、勝手に世界を作り変えたんだろ!? なのにどうして、エアの代償をエアの末裔までもが引き継がないといけないんだ!」
 
力強くそう叫ぶ俺に、オフィーリアはそっと頬に触れてきた。

「世界を作り変えることは禁忌そのもの。エア一人で抱えきれない禁忌を、当時のエアの末裔たちは一緒に背負うと決めたそうよ」

「オフィーリア……」
 
頬に当てられる手を掴んで、彼女の体を自分の元に引き寄せる。

「ブラッド?」

「絶対その呪縛からお前を開放してやる! だから諦めるなよ……!」
 
俺の言葉に彼女は小さく頷く。

「なあ……トートはどうなった?」

「……心を代償にしたトートは自我がなくなる前に、エアだけを新しい世界に送り出した。エア自らが選んだ守護者たちと共に──」

「守護者?」
 
ちょっと待てよ。エアとトートは神様じゃないのか? エアが選んだ守護者ってなんだ?

「エアとトートは元人間よ」

「なっ?!」
 
に、人間?! 普通の人間が世界を作り変えて、俺たちに魔法を与えたって言うのか?

「エアが選んだ守護者と言うのが、魔剣と呼ばれる存在よ」

「ま、魔剣……」
 
エアの恩恵を受けている魔剣が、エアが選んだ守護者だと言うなら魔剣も元は──

「だから私は星の涙を守ると共に、八本の魔剣を集めないといけないの。エアとトート、そして守護者たちが交わした約束のために」

「約束?」
 
オフィーリアは頭を左右に振ると言う。

「約束がどういう物なのかは知らないの。でも魔剣は八本見つけなくてはならない」

「オフィーリア。お前その魔剣たちのことを全部知っているのか?」
 
俺の言葉に頷いたオフィーリアを見て俺は目を丸くした。

「魔剣八本の名前を、私は全部知っています」

そっと息を吐いた彼女は、腰から下げているレーツェルに触れる。