「誰にも言うなって言われていたけど、ブラッドには話しておくね」

「俺に言っても良いことなのか?」
 
俺の言葉に彼女は頷く。

「うん。それにエアの末裔は私一人だけだし、後世に引き継ぐ人もいない。だから話しても良いのよ」
 
オフィーリアは寂しそうに、優しく微笑んだ。

そんなオフィーリアを見て胸が痛む。

「ここに記されていないのは、この世界に基づくこと」

「……この世界だと?」
 
どういうことだ? 俺たちの世界に基づくことって?

「本来この言葉の後には、こう続くべきなの」
 
オフィーリアは軽く息を吸うと言う。

「戦いを終わらせたエアとトートは、ある魔法を使って世界を作り変えた」

「っ?!」
 
な、何だよ……それ? 世界を作り変えたって?!

「新しく世界を作ったエアは、その代償に寿命を、トートは心と目を代償にした」

「じゃあ……エアの末裔が短命の種族って理由は」

「エアが世界を作り変えたから」

「っ!」
 
俺は目を丸くした。

「世界を作り変えるには、それなりの魔力と代償が必要だった。エアは星の涙を使って、世界の魔法(ヴェルト・マギーア)で新しい世界を生み出したのよ」

「そんな……」
 
じゃあ今の世界があるのは、エアとトートのおかげでもあるんだ。その二人が居なかったら、この世界は生まれる事はなかったんだ。

「当時、九種族戦争によって世界は、人が住めない世界になっていた」

「そう、だろうな」

「だから作り直すしかないと考えたエアとトートは、それぞれの物を代償に世界を作り変えた」
 
それが今でもオフィーリアたちに引き継がれているのか。

そんなのエアだけが背負うべき代償なのに、なぜエアの末裔たちまでもが、その代償を受けなければならないんだ! 

俺はそれが納得できない。どんな理由があるにせよ、その代償がなければオフィーリアはもっと長く!

「……理不尽だな」

「えっ?」
 
俺は拳を作って力を込めて言う。