それはミリィの心からの願いだ。

もちろんブラッドが幸せになる事を私自身も望んでいる。復讐に囚われず愛した人と一緒に未来へ向かって行って欲しい。
 
だから──

「私じゃ無理ですよ」
 
私は小さくそう呟いた。

「オフィーリア?」
 
こんな私じゃブラッドを幸せにすることは出来ない。側にいたところで彼を傷つけてしまう。
 
それならいっそ、彼から離れた方が良いのかもしれない。

でも私の中でブラッドから離れたくない自分が居るんだ。

「ブラッドには私以外の子がお似合いだと思いますよ」
 
そうミリィに告げお皿を机の上に運ぶ。

「それにブラッドは女の子たちにモテるから、私以外の子なんて直ぐに」

「私はオフィーリア以外の女の子は、絶対に認めません!」
 
ミリィはそう叫ぶと力強く机を叩いた。それに驚いた私は目を見開いてミリィを見る。

「……ミリィ?」

私は恐る恐る彼女に声を掛ける。

「やっと……やっとブラッドは幸せになれるの。心から好きな人がやっと出来たのに……」
 
ミリィは私には聞こえない声で何かをぶつぶつ言っている。

体を震わせているミリィに近付こと思った時、彼女は顔を上げて言う。

「オフィーリア! ブラッド呼んできて下さい!」

「う、うん? 分かった」
 
急にブラッドを呼んで来るよう言われた私は首を傾げた。

★ ★ ★

「あ〜くっそ! 全然見つからねぇ!」
 
書斎にこもってから何時間経っただろうか? 俺は宝石の情報と星の涙に関する情報を集めていた。

だがやっぱりここでは限界があるようだ。二つの事を記した魔法書が見つからない。

「まさかここまでとは……」
 
一冊や二冊くらいあるかと思っていたが、やっぱりここにはないようだ。

珍しい魔法書が好きだった父さんの事だから、あるものかと思っていたんだけど。