「ミリィ？」

「オフィーリアはそれ知ってどう思ったんですか？」
　
どうしてそんな事を聞いてくるのだろうと思いながら、私は少し考えてから口を開く。

「最初はあまり快く思っていなかった。人々から宝石やお金を盗んでいたし、私の家族を殺した人かもしれないと思っていたから」

「えっ！？」
　
バッと顔を上げたミリィは血相を変えて言う。

「ブラッドは理由もなくそんな事しているじゃないんです！　ちゃんと依頼された人のために頑張っていて、他の怪盗とは全然違うんです！　だからオフィーリアの家族を殺してなんか」

「うん、知っています」
　
私はそう言ってミリィに微笑み返す。ミリィが私に伝えたい事は分かっていた。
　
ブラッドがなぜ怪盗レッドアイとして盗みをしているのかちゃんと話してくれた。だから私は。

「ブラッドがやっていることは、世間一般で言うなら【悪】かもしれない。でも私はブラッドの行いは【善】だと思います」

「オフィーリア……」

「だから私はブラッドを信じています」
　
これは迷う事なく言えることだ。
　
前の私だったらブラッドをどこかで疑っていたと思う。信じる事が出来なかったと思う。

でも今は心から彼を信じている。

「やっぱり……オフィーリアですよ」

「えっ？」
　
ミリィは瞳を輝かせると私の手を掴んで言う。

「ブラッドを幸せに出来るの、はオフィーリアなんですよ！」

「私がブラッドを？」
　
私は前に言っていたミリィの言葉を思い出す。

【だから世界一幸せになってほしいです】