「自分にとって大切な存在……他の人と違って特別な存在……」
 
俺の言葉に納得したのか彼女は俺から手を離す。

「オフィーリア?」
 
彼女の顔を覗こうとした時、後ろの方でミリィの声が飛んできた。

「ブラッド。お客さんだよ」
 
その言葉に俺は表情を変える。

「どっちの?」

「裏」
 
その言葉を聞いてズボンのポケットに入っていた眼帯を取り出す。左目を隠すように付け替え立ち上がる。

「ちょっと行って来るから、ミリィはオフィーリアと居てくれ」

「分かった」
 
俺はミリィの横を通り過ぎ客室へと向かった。

☆ ☆ ☆

「お待たせ致しました」
 
部屋の中に入るとそこには、小さな女の子を連れた男の人が立っていた。
 
親子か? と思いつつ二人と向かい合わせになるようにソファに座る。男は立ち上がると深々と頭を下げた。

「初めましてブラッドさん。私はローレンと言います。こちらは娘のマナティです」

「初めまして。どうぞお座り下さい」
 
ローレンがソファに座ったのを見て、俺は確認するように問いかける。

「一つ良いですか?」

「はい」

「ここへ来たという事は、俺が怪盗レッドアイと知っているんですよね?」
 
その言葉に頷いたローレンは口を開くと言う。

「はい。ある人からブラッドさんの話を聞きまして、是非ともお力を貸して頂きたくて」
 
なるほど、ある人か……。何の連絡もなしに依頼者を急に寄越したとなると、誰かは代々検討がつく。