「それは私が希望したの」

「えっ、オフィーリアが?!」

ミリィは不思議そうに首を傾げる。

「ブラッドの隣だと安心して眠れる事が分かって、一緒の部屋にしてもらったのよ」

「そ、そんな、昨日いったい何があったって言うのよ?!」
 
ミリィは信じられないという表情を浮かべて後ろに数歩下がった。
 
まあそうなるよな、俺だって未だに信じられないし。

「それはつまりオフィーリアがブラッドの事が──」

「きっとお兄様に似ているんだと思うの」
 
彼女の言葉に俺とミリィは目を点にする。

「……は?」

「え? お兄様って?」
 
え、じゃあ何か? 

オフィーリアが俺と一緒の部屋が良いって言ったのは、俺がオフィーリアのお兄さんに似ているからなのか?! 

え、何かショック!

「えっとつまり……ブラッドがオフィーリアのお兄さんにどこか似ていて、隣にいると安心して眠れるって事で良いんですか?」

「うん」
 
そこまで断言しなくても良いだろ? ほんとに凹むからやめてくれ。
 
ミリィはチラッとこちらを見ると、何かを嘲笑うような笑みを俺に向ける。
 
その笑顔を見て更にカチンと来る。

「でも本当にお兄さんに似ているって、そう思っているだけなんですか?」

「えっ?」
 
ミリィの言葉に俺たちは首を傾げた。

「急にどうしたミリィ? オフィーリアがそう言うならそうなんじゃないのか?」

「だってオフィーリアがブラッドを見る目が変わったと思って」

「目つき?」
 
そんなの意識した事なかったな。毎日顔を合わせているせいかもしれないが、ミリィからしたら気になった変化なのだろう。