本当はダメで、でも諦められなくて。

泣いちゃダメ?~登場キャラクター紹介~

私立星空学園

藤堂シオリ
高校2年生。色白で美少女。学校一頭がいい。性格は冷淡でクール。どんな人に対しても基本的に礼儀正しく接するが、たまに堪忍袋の緒が切れるところに触れてしまうと、大爆発してしまうことがある。
実はお兄ちゃんのことが大好きなお兄ちゃんっこ!



本城ナオ
シオリのことを唯一しっかりと理解してくれる幼い頃からの大親友!サバサバしていて、いつもにかっと笑顔だけれど、相手の気持ちを1番に細かく読み取る力がある。運動神経抜群!学年別頭脳ランキング120名中52位。



椎田透
数学の男性教諭。なぜだかいつも白衣で、銀ブチの眼鏡をかけている。いつも、神経質すぎるシオリを落ち着かせてくれたり、何かと助けてくれる心優しい先生。生徒会の顧問。

高田ユラ
高校1年、生徒会書記。臆病で、いつも控えめな笑みを浮かべる少女。ポニーテールがよく似合い、部活はバトミントン部。部活と生徒会の両立に少し苦を感じているが、シオリからユラは抜けてはいけないと強く引き止められた為、同時進行中。学年別頭脳ランキング132名中64位。



中井ユウヤ
高校1年、生徒会会計。楽観的で面倒なことが嫌い。しかし、自分がやると決めたことにはとても一生懸命。シオリからは、生徒会として、誠心誠意尽くしていることで信頼されている。学年別頭脳ランキングでは132名中27位。




一ノ宮カオン
高校3年。生徒会副会長。変人で天才。わりと語尾に「ニャー」をつける。いつも、生徒会の作業をやらず、どこかに行ってしまい自由奔放。しかし、予想していなかった事態などに素早く対応する力を持ち、裏で手を貸してくれたりする。学年別頭脳ランキング150名中2位。



町岡レン

高校3年。生徒会書記。静かで無口。普段は何も言葉を発さないが、ここぞという時に、みんなとは一風変わった意見を出し、生徒会を救う救世主。前髪が長く眼鏡はだてめである。学年別頭脳ランキング150名中26位。
蓮川学園

蓮城寺カイ
高校1年にして生徒会長。横長の眼鏡と、銀髪がトレードマーク。頭が硬く、シオリよりも人を寄せ付けない。ほとんど笑顔を見せない。星空学園をずっと敵視している。



街川頼子
高校1年。いつも不敵な笑みを浮かべている少女。シオリの秘密を握っている。その秘密をばらさないかわりに◯◯してよなどとことあるごとに不正な交渉を持ちかけてくる。
私立星空学園。

ここは、お嬢様学校としてとても有名なところだった。

偏差値70以上、礼儀、美しさ、これら3つの力が備わった娘だけが入れるという格式高い高校である。


「ねぇねぇ、ここって星空学園だったっけ?確かお嬢様ばっかり集う学校。」


「そうそう。ほら、建物も綺麗でさ、この学園からは毎年すごい数のT大合格者出してんの。ただでさえT大とかなんて、女子少ないのにさ、この学校からがほとんどらしいよ。やばいよね。」



「そういえばさー、ここの会長の噂聞いたことある?」
「え~、なにそれなにそれー。」





はぁ。本当に困ったものだわ。

1年生が早くも中間テストで去年を下回ってるじゃない。

こんなんじゃ、我が校のレベルが落ちるのも時間の問題ね。

「ちょっと、高田さん。悪いんですけど、その資料を全部コピーして、データを中井くんのパソコンへ移動しておいていただけます?」

「えっ?あっはい!分かりました。」

えっと、後は緋凪町(ヒナギ)の歩行者安全運動と、校門の風紀活動ね。そして...

「会長。まだそんなに気を張らなくてもいいんじゃないか。生徒はこれから伸びていくんだから。」

「椎田先生。」

椎田透先生。数学の教諭である。

銀ぶち眼鏡と少し赤茶色な髪色。

そして理科の教諭でもないのに、いつも白衣を身につけている。

いつも少し変わった物の見方をする人だ。

「そんなこと言っていたら全く生徒たちは活性化しませんよ。もっと先を見据えて計画をたてていかないと。」

「あいかわらず硬いな。会長は。こっちがまいっちゃうよ。」

私は藤堂シオリ。

私立星空学園2年、この校の生徒会長。

性格はよく硬い、クール、冷淡って言われています。

自分ではいたって普通なつもりだけれどね。

家族は母と父とお兄ちゃ...じゃなくて大学生の兄とメス猫のシャロルの5人暮らし。

父はとある企業の社長で、兄はT大学の方で宇宙物理学とか専攻してます。

こんな感じでごくごく普通の家族でごくごく普通の私なんだけれど、(全然普通じゃねぇよ!! by椎田透)なんだか今年はなにもかもが普通じゃない気がするの。

もちろん悪い意味でも、良い意味でもね!それで...

ああもう、長々とした紹介とか挨拶とかいいから、さっさと次いこうぜ!

ちょっと、椎田先生!!




朝5時から私の学校生活はスタートする。

5時から6時まで勉強して、その後朝食、シャワー、歯磨き、着替えと進んでいき、7時には家を出る。

星空学園は父の勤務先の途中にあるので、車で送ってもらう。その時にはお兄ちゃんも一緒だ。

私の兄、藤堂叶太はあの超エリートを育成する、T大で宇宙物理学を専攻している。

いつも優しくて、友達も多くて、頭が良くて、本当に心から尊敬できる人だ。

私が、幼かった頃、周りの小生意気な上級生にいじめられてしまった時に、お兄ちゃんは必死に私を守ってくれた。


「大丈夫。シオ(シオリの愛称)は、叶太が守るからね!」


そうやっていつも私の盾になってくれたことを今でも鮮明に覚えている。

あの頃からお兄ちゃんはかっこよくて、強かった。

今でももちろんかっこよくて強い。

じゃあ私はどうなんだろうか。


あの頃よりは、少しは強くなれたのだろうか。



「おい、シオ、シオ?」

(はっ、いけない、つい昔の思い出に浸ってしまった。)


「あ、ごめんお兄ちゃん、ちょっと考え事してたの。」


「そっか。そういえば今日は生徒総会があるんだろ。頑張れよ。」


お兄ちゃんはとびっきりの笑顔で手でピースを作って見せる。

「うん、ありがと。」


そんな言葉も少し恥ずかしくて、窓から外の景色を眺めるふりをしながら、ぎこちなく応えるだけ。


この不思議な気持ちが年頃からなのか、また、違う気持ちからなのかは、よく分からない。

だけど、最近はこの恥ずかしさの根本がなんなのか、薄々気付き始めている。

でもその感情に面と向かって前を向いてしまったら、それと同時に何かの糸がプツリと切れてしまうような気がして、いつも目を逸らしてしまう。

今日もまだ振り向けないんだ。

「シオリ、着いたぞ。早く行きなさい。」


「はい。お父さんもお仕事頑張ってね。お兄ちゃんも研究、頑張って。」


「おう、サンキュ。」


車が風のように過ぎ去っていった。


私はさっきまでの気持ちを全て地面に捨てて、即座に体の向きを変え、星空学園の門を足早にくぐった。





本当はダメで、でも諦められなくて。

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