私の名前は、鷹橋 遊咲 (たかはし ゆさ)

この春、高校一年生になったピッチピチのJKだ。

一応、三姉妹の末っ子をやっている。

「ゆさ、ティッシュとって!」

この少しかすれたハスキーボイスの美人は、私の自慢の姉だ。
今、地元の国立大学の看護科3年生の20歳、鷹橋 梨夏
(たかはし りか)だ。

とても、親孝行で、三姉妹の頼れる?長女だ。

彼女はとっても、とっても、美人なのだが…
例えば、私の友達に会った時、
「ぅわーゆさちゃん?
こんなところで会うなんて奇遇だね。隣の人は?」

「ん?ゆさのあねさんだよ。」

「ふーん。とっても、美人さんだね。
こんにちはー。私、ゆさの友達の…です。」

りか姉は、頭をちょこっと下げた。

私はいつも心の中で、『りか姉もっと愛想よくしよ?』
と言っている。

りか姉は、基本、外に出るとしゃべらない。

だが、家族の前では、うるさいくらい喋って、私をよく困らせてくる。

「ゆさちゃん、ゆさちゃん。
あのね、今日猫カフェ行ってきたの。それでね…」

「ねんね、今、勉強中だから、後で聞くよ。
ちょとあっち行ってて。」
私がそう言うと、りか姉は…

離れないんだなぁこれが。

「いやだ。ここにいる。ゆさちゃんの邪魔する。」
そして、終いには…

「あーあー。ゆさちゃん、ゆさちゃんルンルン」
訳も分からない鼻歌を歌う。




だが、そんなりか姉にも、友人は、いる。

「それで?猫カフェどうだった?」
私は、勉強が、一段落すると、りか姉に聞いた。

「あのね、めぐみちゃんには、ちっとも猫が寄りつかなかったのに、りかにだけ、凄い近付いてきたの。」

私はりか姉から、めぐみちゃん以外の友達の名を聞いたことがあるだろうか?

りか姉にめぐみちゃん以外の友達はいないようだが、
りか姉は、めぐみちゃんの前でも話さない。

りか姉の本当の姿は、家族しか、知らない。


「ねぇ、ゆさ。この服どう思う?」
そう聞いたのは、私と3歳離れた姉で、

りか姉と同じ国立大学の医学科にこの春から通い始め、

JDになった、エリート級の頭脳の持ち主、

鷹橋 実真 (たかはし みま)だ。

みまは、実るという名前の通り、本当に頭が良く、
高校は私達が、住む県で一番偏差値が高く、
全国的にも有名校の特進科出身だ。

それに加え、みまは、その高校に2番で合格した
自慢?の姉だ。



みまの顔偏差値は、はっきり言って低い。

日本顔会の会長になれるほど鼻が低い。目が細い。

おまけに、体型もプックリとしていて、脚が、短い。

だが、みまは、よく笑う。笑うみまは、家族の贔屓目なしに、可愛いと思う。

ゆさは、りか姉の無愛想美人より、愛嬌ブスのみまが、
大好きだ。

それは、恥ずかしくて、本人にいえないのだが…。

そして、みまはやはり、
りか姉と同じで外と家での態度が違う。
みまは、無愛想なりか姉と違い、怖いほど外では、
愛想が良くなる。

みまは、家ではムスーっとした顔をしている。

私をよく、パシリに使い、腕を組み、家では、デカイ態度をとっている。

時には、母や父に意見を言うときもある。

りか姉には何故か逆らわないのだが…
そして、外へ出ると、とにかく笑う。
愛嬌を振りまく。自分から、気遣いをする。

家とは真逆だ。

そんなみまを私は、少し恐れている。

そして、私は、パシリにつかわれる。