久しぶりの学校。
小さい連休だったからか、生徒たちにこれといった変化は見られなかったけど、学校の雰囲気は少し変わっていた。
「……テスト?学園祭?」
黒板に大きく書かれた2つの文字。
「そろそろテストがあるから気合いいれろよ。
もし、赤点とった場合……。」
ゴクリと誰かが固唾を飲んだ音がした。
「夏休み補習があるからな。」
その瞬間、クラスからのブーイングが巻き起こった。
「なんでだよー!!」
「俺たちの夏休みが……。」
「ぜってー補習だけは嫌だっつーの!!!」
あぁ、これぞ男子高校生の逆襲か。
「だったら……ちゃんと勉強すればいいだろうが。」
神城先生の一言で、たった数秒の逆襲は鎮圧されてしまった。
〈呆気ないわね。〉
「本当にな。」
もう少し反抗すれば面白そうだったのに。
まぁどっちにしても私には関係ないかな。
これでも学力は中くらいだし。
そこまで考えて、ふと横を見る。
そこはポツンと空いた空席。
楽は、今日も休んでいた。
風邪、そんなに長引いているのかな……。
ただの風邪なはずなのに、なぜか胸に引っかかった。
「次は学園祭な。
クラスの出し物決めるぞ。」
神城先生の言葉に、クラスメイトは各々の意見を出し始めた。
だが……、
〈女装カフェにコスプレ喫茶……ねぇ。〉
どれもくだらない男子高校生の象徴だった。
「……絶対やりたくない。」
この学校の学園祭は一般公開される。
女子が来ると言うだけでも嫌なのに。
ここには姉妹校があり、その女子高の生徒との合同イベントもあるらしく……。
今回は見物かな。
「あ、イベント出ない奴も補習だからな。」
何故か私の方を見ながら言われた。
クソッ、この腹黒教師が……。
「剣城。何か言ったか?」
「……別に。」
思っただけだっつーの。
エスパーかなんかか、あの教師は。
「めんどくせーから多数決だからな。」
その結果……。
「んじゃ、女装カフェっつーことで。」
そりゃあもう音が付くほど……崩れ落ちた。
やりたくないやりたくないやりたくない。
まだ補習の方がマシ。