「楽、あの必殺技……元は呉都さんのなの。
今度教える時までに……もっと強くなっていてね?」
その可能性は極めて少ないけれど……私も、少しばかり期待してもいいかな?
そして、最後になるであろう人を見る。
その人は、静かに佇み、微笑んでくれた。
初めて私のフードをとっぱらってくれた人。
幾度となくその温もりを与えてくれた人。
私たちのために苦しんで涙を流してくれた人
。
「……俺は、お前のこと忘れねぇ。
代償がなんだろうが関係ねぇ。
何年経っても必ず見つけ出してやる。」
ほら、また君はそうやって私に光をくれる。
来都……。
あなたは、呉都さんの代わりなんかじゃない。
初めて会った時から、来都は来都のままだ。
「うん。待ってる。」
1人の少女と殺し屋が出会ったこの物語は、長い時を経てようやく幕を閉じる。
たくさんの思いが交差し、共有した私たちは……ここで一度別れることになる。
けれど、それは終わりじゃない。
幕を閉じた私たちは、また新しい物語の幕を開けるために歩み始める。
なんかね?
これからみんなが私のことを忘れてしまうっていうのに、全然寂しくないの。
だって、こんなにもみんなが言葉をくれるんだから。
私は、この世界に生まれて……みんなと出会えて……とても幸せだった。
「私はずっと覚えているから。
みんなと出会ったこと。みんなとの時間。
みんなと交わした些細な言葉も。
こんな私に幸せをくれて……ありがとう。」
そうして私たちを取り囲むこの世界は、光に包まれた。