「…………ッ!!」
「……ぃ、真琴ッ!!」
私の名前を呼ぶその声に、私はそっと瞼をあげた。
視界には、来都を始めとするみんながいて。
私は、来都の腕の中で目覚めた。
「……どうして、みんな……」
「パッパと片付けて駆けつけたんだろうが!!
やっと追いついたと思ったら倒れてやがって……ッ」
そう言いながらも、燐理はどこか安心したような表情で。
他の人もそうだった。
「まったく……真琴ちゃんはいつも突っ走るよね。
手網握っておかなきゃかな?」
「確かに。
真琴はちょっと危なっかしいからね。」
いつも通り少し毒舌な由樹さんと桜悠。
「眠っているレディもキュートでシタ。」
「真琴はあげないからねー?」
いつも通りくだらない会話をしてるカイさんと楽。
そして…………
「……お前が無事で良かった……。」
いつも通り、呉都さんに似たその温もりで私を包んでくれる来都。
全部全部、何も変わらないけれど……それも今日で終わり。
今日からこの"いつも通り"は、私だけの思い出となる。
「……皇帝、は?」
「……俺が片付けておいた。」
来都が見た方を辿ってみれば、壁に寄りかかって気を失っている皇帝がいた。
「……戦いはもう終わった。」
長い長い戦いだった。
〈願い事……してきたのね。〉
「……うん。」
ビビを初めとする使徒たちは、もう決意している。
「……みんなを巻き込んで、ごめんね。」
〈何言ってるの。
私は真琴たちといれて楽しかったわ。〉
ビビの声が、少しばかり弱々しく掠れて聞こえた。
「……使徒と話してるのか?」
そうか。
みんなにはビビたちの声が聞こえないのか……。
「ビビ、最後に使徒たちがみんなと話せるように出来る?」
〈えぇ。〉
そうして小さな光がみんなの前で弾けた。
〈こうして話すのはあの時ぶりかしらね。
私は……私たちは、あなた達にとても感謝しているの。〉
私をずっと見守っていてくれたビビ。
〈……僕たちは人間を見守る側でありながら、人間が嫌いだった。
でも、来都たちのことは嫌いじゃない。〉
さり気なく色々なことを教えてくれたシヴァ。
〈桜悠と契約出来てマァマァ暇つぶしにはなったからなァ?〉
桜悠の支えになってくれた帝。
〈もう少し言い方はないのですか?
楽と過ごした時間は少しですが、私の一番の思い出です。〉
楽の心を理解してくれたサラ。