ガキンッ!!



「鎌!!」



キンッ!!



「銃ッ!!」



パンッパパァン!!



「ナイフ!!」



キキャキャキャン!!!








どうして……どうして……ッ。








「どうしたんだ?もう終わりか?
私を止めるんだろう!?」



剣も、鎌も、銃もナイフも……あらゆる武器を使っても……倒せない……。



皇帝に触れられた武器は、煙のように消えていく。



〈……真琴、これ以上武器での攻撃は無理よ……ッ。〉



「じゃあ、どうしたら……ッ!!」



〈……あの黒犬だけは、具現化するたびに能力が変わるの。
だけど、まさか……こんな力が存在していたなんて……ッ〉



「……それって……ッ」








〈えぇ……ッ。
あの神賢者の能力は……"相手の能力を触れるだけで無効化する能力"。〉







無効化……?



〈察しが早いな、黒猫。〉



「私の能力が分かったなら、それがどういうことかもう分かるだろう?」



そんな能力が存在するのなら……。



今、ここにいる私たち全員の力を持ってしても……勝てない。



全世界の中で、皇帝は……最強の存在。



「……認めない……諦めない……ッ!!
私は……貴方を倒さなきゃいけないの……ッ!!」



そんなことで立ち止まってちゃいけないの……ッ



みんなに背中を押されて、みんなを犠牲にして、ここまで上がってきた。



そう簡単に私が諦めてたまるか……ッ!!



例え私の命に変えても、止めてみせる……ッ!!



呉都さんが果たせなかったことを私が代わりにするんだ……ッ!!



〈……もう私たちの策は1つしかないわ……。
でも、これを使ったら真琴はまた……。〉



「……大丈夫だよ。
今回はビビがいるから。」



〈そうね。暴走したら全力で止めるわよ。〉



「……頼もしいよ。」







私は瞼を閉じる。



皇帝などいないかのように、視界から消す。



イメージを強く持って……。



コップの中に水を満たすような……、



いや、それじゃダメだ。



満たすだけじゃなく……溢れさせる。



私のは水じゃない。



私のは……赤。すなわち……血。






闇の中に蹲る私が見える……。



そして、その周りには無数の手。



大丈夫。決して飲まれないで……。



私の中にある大事なものを……、私の中にいる大事な人たちを……思い出して。



確かな意思さえあれば……最凶にだって勝てる最強になれる。



願え……。



強く……もっと強く……。








その時、左手に嵌めた指輪が熱を帯びた気がした。





そして、右手の指輪が輝いた。