久しぶりに来た……。
決戦を明日に控え、私は校舎に足を踏み入れる。
玄関を通り、自分のクラスを通り過ぎる。
今ではもう覚えてしまった学校の内部は、それだけここで過ごしてきた日々を思い出させた。
思い出を噛み締めながら歩き、職員室に入り、神城先生を見つけるとそばによる。
「おー、久しぶりだな。何か用か?」
そして私は考えに考えた結論を言葉にする。
躊躇われたけれど、それでもそうした。
「……そうか。
まぁ、別にいいんじゃねぇの?」
本当にこの人は最後まで軽いな……。
お礼を言い、職員室を後にしようとすると、呼び止められた。
「問題の答えは出たか?」
それに私は、微笑みながら答える。
「俺にとっての殻は……過去に縛られていたこと、ですかね。」
その答えに、神城先生は不敵な笑みを浮かべた。
「正解。じゃあ、頑張れよ。」
「……はい。」
あの人もきっと気づいていた。
軽い先生なのか、注意深い先生なのか、これじゃ分からないな……。
用事も終わると、足は自然とあの場所へ向かっていた。
扉を開けると、いつもと変わらず太陽の光と緩やかな風が私を包み込む。
初めてみんなと会った場所。
初めて友達が出来た場所。
言い出したらきりがないけれど、それだけここには思い出が詰まっている。
この場所を瞳に焼き付ける。
1つもこぼれ落とさないように。
いつまでいただろうか。
ふと後ろに気配を感じたけれど、振り向かなかった。