「私は、呉都さんに沢山の言葉をかけてもらった。
呉都さんの存在だけが、私を支えてくれて励ましてくれた。
だから私は、呉都さんの代わりにこの世界を変えるの。
1人の先導者として。
でも……同時に怖くなった。私の周りでは人が死ぬ。
だから燐理と由樹さんをどこかで遠ざけていた。
逃げていたのは私だった……ごめんなさい。」
自分を正当化しようとして、見ないフリをしていた。
もう私の中にいる"俺"は必要ない。
何も隠す必要なくなったんだ。
「よく……話してくれたね。」
そう言って頭を優しく撫でる由樹さんの温かい手に安心した。
「お前が護り屋になったのは、その呉都ってやつの為だったんだな。
でも、これだけは言っておくぜ。」
燐理はいつもの不敵な笑みを浮かべて言った。
「俺たちは死なねぇ。
例えお前みてぇな力はなくても、それでも俺たちはお前の横に立ち続けてやる。
だから安心しろ。」
「うん。
少なくとも妹より先に死ぬ兄貴なんて恥ずかしいしね。」
燐理……。由樹さん……。
2人を見てやっと分かった。
なぜ、この2人と仲間になろうと思えたのは……。
呉都さんと同じ温かさを持っているからだ。
この2人はあの日の呉都さんのように、私に手を差し伸べてくれた。
この2人となら歩み出せると心のどこかで分かっていたんだろうか。
「で、昨日は何があったんだ?」
「……私宛に届いたあの手紙は、皇帝からだった。」
「皇帝って……あの殺し屋トップの?」
無言で頷く。
「指定された場所にいけば、何かが分かると思ったの。
使徒や神賢者のことも含めて、私の知らない何かが。
でも……そこで待っていたのは絶望だった。
私とblackkillers、そして忘却の皇帝……即ち7人の神賢者のうち6人が集まった。
そこで私は知ったの……。
blackkillersが来都たちだったこと。
呉都さんを殺したのは私だったこと。
そしてその記憶をビビが私の中から消したこと。」
そこで私は壊れた。
何を信じればいいのか分からなくなって、閉ざした。
今思い出しても、今までのみんなとの思い出と、昨日のことがフラッシュバックする。
どっちが……本物のみんなだったんだろう。
でも、私も人のこと言えないや……。
女だったこともwhitecastleだったことも黙っていたんだから。
「真琴ちゃんは……あの子たちのことが嫌いになった?」
「……分からない。」
そう簡単に嫌いになんてなれるわけがない。
でも……未だに信じられなくて。