扉に背を預け、内側から込み上げてくる感情にただ耐えた。
与えられていた2人の思いに、やっと気づいた。
ずっと2人は見守っていてくれてたんだ……。
2人は覚悟をとっくに持っていたんだ。
なら、私も……。
由樹さんと燐理の会話を聞いて私の覚悟も決まった。
「今日は晴れたね。風が気持ちいい。」
barの上にある屋上で、私たち3人は腰を下ろした。
ここで話そうと言ったのは燐理。
「キツい時高いところにいくのお前の癖だろ?」
気づくとどんどん溢れてくる2人の優しさ。
こんなにも日常にこぼれ落ちていたんだ……。
2人に気づかれないように、そっと唇を噛んだ。
「考えてみれば、こうやって僕たちが仕事以外のことで話すのは初めてだね。
だから……不安定だったのかな、僕たちは。」
由樹さんが呟いた言葉に、私は何も言えなかった。
そうならないように避けてきたのは私だからだ。
ずっと逃げてきたんだ、私は。
拒絶されることが怖くて。
俯いていると、頭をぐしゃぐしゃと撫で回された。
「お前だけじゃねぇ。
俺たちも深く立ち入らねぇようにしてたんだ。
誰が悪ぃとかじゃねぇんだよ。」
燐理の不器用な優しさに、また涙腺が緩んだ。
「……あり、がとぅ……。」
ちゃんと話さなきゃと思った。
だから私は顔を上げ、2人の瞳を見た。
もう関係を間違わないように。
もう逃げないように。
「……私は……、」