「The Magician……魔術師、デスか。
未知の想像と無限の可能性……前に進むことを迷っているようデスね。
それに必要なのは勇気デス。」



勇気……。



「悪いことばっかじゃねぇか。」



「そんなことはアリマセン。
あなた方の関係が何も無いというのなら、そもそもこのカードはでまセン。
勇気を必要とする……それはあなた方もあのレディも歩み寄ろうと試みているカラでは?」



歩み寄ろうとする心があるから勇気が必要になる……か。



「そして、あなた方のしてきたことは決して無駄ではアリマセン。
あなた方は、彼女の心の中で確かに生きてイル。」



その言葉を、僕と燐理はただ受け止める。



今辛いのは僕たちじゃない。



今頃夢の中で1人で蹲って泣いているだろう真琴くんだ。



何があったかは知らないけれど……きっと立ち上がりたくないと思ってしまうほど辛いと思う。










「いつの間にか、僕たちが真琴くんに寄りかかってたみたいだね。」



「ハンッ、皮肉にもな。
ガキに縋るなんて情けねぇ。」



「うん。
僕たちはあの子の兄貴分だったね。」



「だったらやってやろうじゃねぇか。
兄貴分らしく、可愛い妹の借り返させてもらうぜ。」



今度こそあの子のそばで……。



僕たちも護り屋の1人として、あの子を護ろう。



兄貴分として、あの子の盾になろう。



彼女を愛しく想う存在として、彼女を傷つけるものは許さない。



きっと次が……最後の僕たちの闘いになるだろうから。



僕たちの共有した時間を誰にも否定させはしない。












ガチャ……



「……燐理……?……由樹さん……?」









だから教えて?










「真琴くん。少し……お話しようか。」



君が過ごしてきた時間を。



君があの子たちと共有してきた思い出を。



君が抱えている苦しみを。



僕たちはまだ何も知らなかったんだ。



スタート地点にも立っていなかった。



だから今日は……たった1歩かもしれないけれど、僕たちが3人一緒に歩き始めた記念日にしよう。



end