気づいたら、私は暗闇の中にいた。
どこを見回しても黒で覆われていて、その中に私1人がポツンと取り残されたような気さえした。
“……壊せ……”
黙れ……うるさい……ッ!!
“……お前のその力は破壊の力だ……”
違う……これは誰かを護るための……、
“……だが実際はどうだ。
お前は殺したのだろう……”
違う……違うの……。
本当に違うのだろうか?
私はもう知っているじゃないか。
一番大事な人を殺したのは……自分だってことを。
やだ……嫌だ……嫌だッ!!!!!
もう誰も傷つけたくない……ッ!!!!!
そこで私の意識はシャットアウトされた。
「……ぃ……おい、真琴!!」
聞いたことのある声を耳にしながら、ゆっくりと瞼をあげる。
由樹さんと燐理が私を覗き込んでいた。
「……ここは……、」
「barだよ。ここまで運んできたんだ。」
「……どう、して……、」
「それはこっちが聞きてぇっての!!
一体何があったんだよ!!」
何が……?
経緯を思い出そうとしていくうちに思い出されていく記憶。
「……ぁ……ぁぁ……ッ」
そうだ……私は……ッ
「……ぁぁぁぁぁあああッ!!!!!」
私が壊した……ッ!!
私が呉都さんを殺したッ!!
私が……私自身がみんなとの関係を壊したッ!!
私が……私がッ
埋め尽くされていく絶望の中で、差していた光が徐々に小さくなっていく。
そんな時、ギュッと誰かに力強く抱きしめられた。
「落ち着け。お前は少し頑張りすぎちまっただけだ。
だから……もう少し休んどけ。」
燐理の声は酷く掠れていた。
でも、抱きしめている腕は力を緩めることはなかった。
「……そうだね。真琴くんはよく頑張ったよ。
だからもう大丈夫だよ。
僕たちがそばにいるから。」
由樹さんの声も何かを堪えているようだった。
でも、私の頭を撫でてくれるその手は何も変わってなくて、とても温かった。
「……ふ……ふぇ……ッ、うわあぁぁぁぁあ……ッ!!」
私はただ声を上げて泣き続けた。
燐理の腕の中で、由樹さんの温もりに触れながら。