「お前はもう一人前だ。」
こうして、私は1人で仕事を始めるようになった。
確実に、正確に、あの赤を作り出そうとした私は、いつしか上に上り詰めていた。
そして私は、朱羅とパートナーとなり、〈忘却の皇帝〉となった。
それから少しして、ある噂を聞いた。
"呉都さんが殺し屋を辞めて、護り屋を始めた"と。
それを聞いた時、私は震えた。
もうあの赤を見ることは出来ないのか……。
なぜ呉都さんは辞めたのか……。
答えは簡単だった。
結局、アイツが邪魔をしているのか。
そう思った時、1つの考えが浮かんだ。
ならば……消せばいい。
そいつさえ消せば呉都さんは元に戻る。
だが、その作戦は思わぬ方向に進んでいった。
組織の末端の殺し屋を使い、そいつを誘拐させた。
そいつは幼い女だった。
なぜこんなやつに執着するのか、私には理解出来なかった。
「無事かッ!?」
飛び込んできた呉都さんは汗だくで、ボロボロだった。
結構な人数を用意したはずなのに、さすがだ。
「蘭丸……てめぇ……なぜこんなことをしたッ!!」
「貴方は私の憧れだった。
なのに……なぜ貴方は殺し屋を辞めたのですか?
こいつのせいだからでしょう?」
「違うッ!!
もう御免なんだよ……誰かを殺すのは。
俺はこいつの前では普通でいたかった……ただそれだけだッ。」
なぜ……なぜ……貴方はそんな顔をする?
私は貴方のためにやっているだけなのに。