〈……あまり教えられることはないよ。
全てを知るのは、僕たち使徒と契約者が揃った時だから。〉
「……揃う?」
〈……神賢者は引き寄せ合う。
いずれ必ず交わる運命にある。〉
運命……か。
〈……僕たち使徒は、別に無責任に契約者を選んでいるわけじゃない。
ある条件を満たした者の中から、この世界を変えてくれる人を選ぶんだ。
だから僕たちは力を与え、契約者に仕える。〉
この世界を変える……?
今の私には想像もつかない話だ。
「……俺は、大切な人を護るためだけに力を奮う。
それだけは譲れない。」
〈……別にいいと思うよ。
あの黒猫もそれは承諾してるんだろうし。
ただ……逃げられはしないけど。〉
逃げられない。
でも、それはまだ今ではない。
なら……その時がくるまでに整えておくだけだ。
「……ありがとう、参考になった。」
そう言って立ち上がると、シヴァはこちらを見上げて言った。
〈……第四神賢者を探しているんだね。〉
使徒というのは人の心まで分かるのだろうか。
「……だったら?」
〈……僕が第四神賢者について教えられることがあるならば、3つある。
1つは、使徒の姿は黒兎。
もう1つは、その使徒の能力は水を使う。
そして最後の1つは……その契約者は秋が嫌いなんだ。〉
何でシヴァは知っているんだろうと思ったけど、それは聞かないでおいた。
「……ありがとう。」
私の目標は、世界とかじゃない。
ただ私の周りにいる人が平和に過ごせればそれでいいのだから。