その夜、私はある場所にいた。
来ると信じてただ空を見上げ続けた。
今日は星が多いな……。
〈……こんな所を待ち合わせ場所にされても、僕は猫じゃないから大変なんだけど。〉
「……フフッ、そうだね。
でも……来てくれると思った。」
〈……どうして?〉
テレパシーで一方的に伝えて、シヴァから返事はなかったけれど。
聞いてくれてはいる気がしてたから、それに賭けただけ。
「……だって、聞きたいことがあったら訪ねてくればいいって言ってくれたから。」
そう言うと、シヴァは少し私を見つめたあとそっと前を向いた。
〈……それで、聞きたいことって?〉
「……俺が何を聞きたいか、分かってるくせに。」
きっとシヴァは予感している。
そして、その予想は間違っていない。
〈……使徒と契約者、即ち神賢者についてってところか。〉
「……やっぱり分かってたじゃん。」
ビビがあれほど隠したがるのも何か理由があると思ってた。
だから何も聞かなかった。
シヴァに、"ビビに聞けばいい"って言われた時も、関係が崩れるのが嫌だと承諾しなかった。
でも……もうそんなこと言ってられないんだと。
私は知らなければいけないんだと思った。
知らなければ……今私の前に立ちはだかる扉を開くことは出来ないんだと。
〈……結局、黒猫には聞かなかったんだね。〉
「……ビビは心配してるんだと思う。
でも……シヴァは違う。
だって、契約者以上の関係を望まないってシヴァは言った。
なら……契約者じゃない俺のことなんて心配なんかしないだろう?」
卑怯、だと思う。
シヴァの言葉を逆手に取って拒めないように持ち込んだ。
そうしないと、答えてくれない気がした。