結局弁当を押し付けられた俺はアンの「またね」って言葉に見送られながら公園を後にした。
足止めされた信号。ふと振り返って公園の敷地を囲むように茂ってる木の方へ視線を向ける。隙間からはまだベンチに座ったままの後ろ姿が見えた。豪快な性格とは真逆の華奢な身体。
頼りさなげなその背中はどこにも凭れることなく、しゃんと伸びている。顔は空を仰ぎ、遠目から見た横顔には哀愁の色が滲んでるように思った。
薄っすらと白い煙が天に向かってゆらゆらと漂う。けれど、当然のように空まで届くことなく、道半ばで空気に溶けて消えてしまった。