私は蒼瀬とのことを話した。


初めて出会った時から、試合を見に行ったこと、文化祭、お祭りのこと。


そして、蒼瀬の耳が聞こえないこと。


「そっか。・・・・・多分、蒼瀬君は詩織に同情されたくなかったんじゃない?」


「同情?」


「うん。もし、詩織に耳のことを教えて今までと違う態度をとられたら嫌だったんじゃないかな。もちろん、詩織がそんなことしないのは分かってるけど。」


くみは私の背中を擦りながら話す。


「私、蒼瀬のこと何も知らなかった。・・・さっき初めて、気づいたの。1人で悩んでいたこと。ずっと、傍にいたのにっ。」