詩織は最初不思議そうにしたけど、窓際のほうが良かったのか何も聞いてこなかった。


勢いで連絡先を聞いたり、サッカー観戦に誘ったり、俺は詩織といたくて必死だったと思う。


手を繋いだときに赤くなる顔、焦った時に必死で話す顔も全部が愛しく見える。


だからこそ、耳のことを話して同情されたくなかった。


詩織がそんな事しないって思っていたけど、口に出すのは怖かった。


詩織には普通に俺と接してほしい。


今俺の耳のことを知っているのは家族と顧問の先生だけ。


樹にも言っていない。


はぁー。