『『早く早く!』』


 今度は二人仲良く手招きしている。


───これってアレじゃないか? ヤクザが自分の彼女に色目を使わせて、さそいに乗った男から金品をむしりとるという……───


『なによお、ホントびびりな所も変わってないわね。私たちのこと、忘れちゃったの?』


───えっ、えっ? 僕の……知り合いなの?───


 こんな綺麗な知り合いが、しかもなんで10年振りに訪れた町に居るというんだ。


 僕は訳が解らなくなり、恐々ではあったけど、玄関ドアを開けていた。


「お久し振り、柏木ゆず樹君」


 油が切れているみたいで、軋んでなかなか開かなかったドアの向こうには、僕が今まで会ったことも見たこともない、まるでファッション雑誌から抜け出てきたみたいな女の子が2人。


「久し振りだね、ゆず樹」


───えっ、えっ、えええっ?───


「あ~あ。折角駆け付けてやったのになに? そのシケた顔は」


 クールビューティーの方は、良く言えば言葉遣いもボーイッシュだ。


単に「口が悪い」とも言える。


「まぁまぁ、私達だって化粧で化けてるんだし、解らなくても無理もないわよ」


 と、可愛い子。


「私よ、片山ひろみ」


───片山ひろみって……


ヒロリンかっ!───


「ヒ、ヒロリン?」


「そう! そしてこちらがイジメっ子の……」


「誰がイジメっ子だよ。緒方和子、小さい時は可愛がってあげたよな。でも今も随分小さいな」