○校正案4(三人称→一人称)

　阿葵は今日も丘の上の教会を目指していた。その荘厳な場所で聴くパイプオルガンは、街で耳にするどんな音楽よりも心地よい。

　もうすぐ夏も終わり、阿葵の好きな季節がやってくる。短いながらも自然が様々な表情をみせるこれからの季節が、彼女はとても好きだった。

それは彼女の誕生した季節だからとも言える。この秋で、阿葵は18歳になる。

　彼女は教会前の広場で絵を描いている青年を良く見掛けていた。教会に毎日通う阿葵に負けず劣らず、彼はいつも広場に居た。

道に背を向けているので後ろ姿しか見たことが無かったが、ただ風になびく、ふわりとした金色の髪がとても綺麗だと思っていた。

　そんなある日。阿葵は教会へと続く道の途中に、白い柄の絵筆が落ちているのを見付けた。


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「これ……」

　彼の筆だろうか。そうだとしたらきっと使う物だ。折れているわけではないし、使わなくなったとしてもこんな所に捨てはしないだろう。

教会への道すがら、どうせ彼の側を通る。私は筆を拾って、風のそよぐ道を進んだ。

正直、彼のことは少し気になっていた。

「どんな絵をかいているのだろう」とか、

「どんな人なんだろう」とか、

「歳はいくつだろう」とか、

「綺麗な……髪をしているな」とか。

色々な思いをめぐらせていたけれど、実際この広場に足を踏み入れるのは初めてだった。

坂道から繋がる広場は､道と同じ石畳。柵の手前数十cmに青々とした芝生が植えられている。

そこは何もない、だだっ広い空間だったが、教会の清廉な雰囲気を壊すものもなく、綺麗に整えられた場所だった。

そして今日も、彼は道に背を向け、街を見下ろしていた。




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秋に産まれたから『阿葵』＿綵さんの拘りを知らしめるためにその周辺を弄りました。

同じ語句の繰り返しは違う言葉に入れ替え、仮定の『かもしれない』が良く使われているので断定しました。