******* あとがき *******



この度は、「彼がメガネを外したら…」を最後までお読みくださり、本当にありがとうございます。


容姿端麗で女としてはソツがないけれど、恋には不器用な絵里花と、頭がよく研究に関しては素晴らしいけれど、世渡り下手で男としてはまるでダメな史明との恋物語はいかがでしたでしょうか?

メガネを外すと見た目だけでなく、中身までも〝いい男〟になるというのは、いかにもありがちなお話ですが、人間、そんなメガネを外したくらいで性質が変わるものではありませんよね。
この作品では、その辺のリアリティを追及して(?)、ちょっとちぐはぐな二人のやり取りを楽しんでみました。

収蔵庫の中で古文書の整理をする業務は、私の貴重な経験の一つでもあります。息の詰まりそうな収蔵庫の中、埃臭い古文書、地道で単調な作業、……そして、強烈な眠気(笑)。その時、一緒に作業をしていた相棒は、史明のようなイケメン……ではなく、同じく嘱託職員のお爺さんでした(でも、地方史の世界では重鎮でした)。
それでも、生の古文書に触れる機会は、本当に貴重なもので、いろんなことを学ぶことができました。本当に何本でも論文が書けそうなくらい、いろんな発見がありました。

また、山の中に並ぶ五輪塔の場面、あの辺も大学院時代の私の経験です。形状から製造年代が分かることなど、フィールドワークに連れて行ってくれた大学の先生が教えてくれました。
学会についても、地方の小さな会で研究発表させてもらった経験もあります。歴史学の世界というのは女性の研究者が少なく、当時20代半ばだった私は、質疑応答で意地悪な質問をいっぱいされて、変な汗をたくさんかいた覚えがあります…(^^;)



(次ページに続く)