王子の何がいいんだかよく分からないわ。
「まぁ今日は姫華もヤバかったけどね」
「はぁ?あんなん普通でしょ」
「あれが普通に出来る姫華ムカつくわ」
「勝手に言ってろ」
私はぶっきらぼうに言う。
「へぇー、一之瀬高校のお姫様の本性大発見」
ん?
はぁぁぁぁ!!??
私はギョッと目を見開く。
ドアに寄りかかってコッチをニヤニヤしながら見ていたのは...
「中野 央理!!??」
私はガタッ!と音を立ててイスから立ち上がる。
や、や、や、ヤバイ!!!
ば、バレた...。
私の人生終っ
「あんた、いいキャラしてんね」
笑いながら近づいてくる王子。
「...え?何のことですか??」
私はいつもの営業スマイルでにこやかに誤魔化す。
「ははっ、大丈夫だって。バラしたりしないから」
「...本当に?」
私はマジマジと無駄に整った王子の顔を見る。
「うん、本当本当、だってあんただって今、素の“央理”と話してんだからさ」
「あ、そうね」
そうと分かればもういいか。
「あ、そこの君の秘密にしてね」
呆然としている奈緒の方を見てパチンっとウインクをする中野くん。
「は、はい...」
ありゃりゃーこりゃ完全に惚れたな。
だって他の人達みたいに目がハートになってるもん。
「王子が目の前に...、ヤバイ照れてハゲる」