「ねぇ」


ふわり。

ゆったりした所作で、朔羅は僕を見上げる。

けれど、言うことは予想の範疇外。


「黒崎恭哉って、アタシ、鬼畜で俺様でドSだと思ってたんだけど、黒崎恭哉もどきはMだよね」


……なんだそれ。


「どんなだよ……」

辟易したように僕が言うと、だってさ、と彼女は手を伸ばした。

その手を僕に向け、ばさりと押し倒す。

その間も、彼女の双眸は僕を捉えて離さない。


そして、だんだんと近づく唇がギリギリ触れないラインで、ほら、と片眉を上げた。

「こんなの黒崎恭哉にやったら、キレられた挙げ句形勢逆転して容赦なく犯されるもの」