それから5年後。

今度は祥太郎が柏原家に引き取られてきた。
本来なら拓海のイトコになるのだけど。
賢司さん夫婦の養子になった。

俺と同じように母親に捨てられて。

賢司さんは

「何かの因縁かな」

と苦笑いしていた。



祥太郎は幸い。

俺みたいな環境ではなかったから伸び伸びと育って今に至るけど。

何故か祥太郎は拓海以上に俺に懐いてくる。

俺が高校を卒業して、このマンションに引っ越す時。

まだ3才の祥太郎は泣いて足元にしがみついて離れなかった。

今でも時々、ここへ来て泊まっていく時もある。