赤ちゃんの名前は

『睦海(むつみ)』

男の子でも、女の子でもこれにしよう、とそーちゃんと二人で決めていた。



「よく飲むよね…」

初授乳ではそーちゃんが写真を撮ってくれたけど。

そんなにお腹が空いていたのか!っていうくらい、吸い付いて離れなくて。

そーちゃんはそれを見て苦笑いをしていた。

「まるで、拓海の小さい時みたいだよ、この子は」

昔を振り返りながら、そーちゃんは呟く。



「今日は綺麗な月だね」

そーちゃんは睦海を抱きながら窓際へ行った。

私も窓の外を見ると。

綺麗な月が出ているのが見えて。



確か1年くらい前。

拓海くんと見上げた夜空もこんな感じだった。



今はそーちゃんと私と、生まれたばかりの睦海…はわかってないと思うけど。

こんな風に夜空を見上げるなんて、思いもしなかった。